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加齢黄斑変性には「萎縮型」と「滲出型」がありますが、型によって治療の進め方が異なります。日本人の加齢黄斑変性の9割を占める「滲出型」には治療法がありますが、「萎縮型」には現在有効な治療法はなく、生活習慣を改善しながら経過観察することになります¹⁾。
ここでは主に、「滲出型」の加齢黄斑変性における治療方法とそれぞれの一般的なスケジュールをご紹介します*。

*治療後の効き目などによって、治療の回数は変わります。

滲出型加齢黄斑変性で行われる治療と治療スケジュール

加齢黄斑変性の「滲出型」は進行が早いため、診断が確定次第、すぐに治療を始めることになります²⁾。できるだけ早い段階で進行を防ぎ、視力を維持することが大切です。

「滲出型」では目の奥（網膜）にできた新生血管が症状の原因です。そのため、新生血管を壊したり、小さくしたりする治療が行われます。新生血管のでき方やできている場所、視力の低下の具合によって、注射やレーザーを使い分けます³⁾。

主な治療法には、①抗VEGF療法、②光線力学療法（PDT）、③レーザー光凝固術があります。どれを用いるかは、新生血管ができている場所や形状などを参考に、医師が決定します。

① 抗VEGF療法

抗VEGF療法は、眼球に注射を打つ治療法です。注射自体は1分ほどで終わりますし⁴⁾、入院する必要はなく、外来で受けられます。
ただし、治療に使う薬剤によっては、感染症を予防する抗菌薬を医師の指示通りに点眼する必要があります。

治療のスケジュールの例⁵⁾
出典：公益社団法人日本眼科医会webサイト

基本的なスケジュールとしては、まず、1か月に1回のペースで連続3回注射をします（導入期）。その後（維持期）は、1か月～数か月ごとに医師が効果を確認しながら注射を続けます。注射の回数は、1年目に比べると、2年目以降は少なくなることがほとんどです⁴⁾。

抗VEGF療法を受ける間隔は、人によって異なります。また、新生血管ができている位置によっては受けられないこともあります。

②光線力学療法（PDT）

光線力学療法（PDT）は、新生血管に集まりやすく、光に反応する性質の注射薬と特殊な波長のレーザーを組み合わせた治療法です。薬剤を点滴して約15分後⁶⁾、レーザーを新生血管がある部位に1分30秒ほど照射すると⁷⁾、薬剤が光に反応し新生血管を内側から閉塞させます。

治療そのものはそれほど時間がかかりませんが、この薬剤はレーザー以外の光にも反応するため、強い光に当たると皮膚がやけどのようになったり、かゆみのある皮疹ができたりする「光過敏症」を引き起こすことがあります。そのため治療後はしばらく日光や白熱灯などを避けなければなりません。最低でも2日間は必ず、できれば5日間くらいは注意して生活してください⁶⁾。その対応のために2泊3日ほどの入院を勧められることもあります。

また、1回だけの光線力学療法では新生血管が完全に閉塞しづらいため、何回か行われるのが一般的です。治療後は3か月ごとに目の状態をチェックし、必要があれば再度治療を行うことになります⁶⁾

③レーザー光凝固術

レーザー光凝固術は、強いレーザー光を新生血管に照射して焼き固める（光凝固）治療法です。治療は15分程度で終わり⁷⁾、入院せずに外来で受けることができますし、1回で治療が終了するというメリットがあります。

しかし、この治療法は新生血管だけでなく、周囲の正常な組織も一緒に破壊してしまうため、その部分の視野が欠けるというデメリットがあります。また、新生血管ができている位置によっては、治療を実施できません。

治療後の見え方については、通常もう片方の目が欠けを補うため、両目で見ている限りはものを見るのに問題はありません。
治療がいったん終了しても、再発のチェックのため、定期的な通院を続ける必要があります。通常は治療開始後1～2年は経過観察が必要です⁸⁾。

萎縮型加齢黄斑変性で行われる治療

加齢黄斑変性の萎縮型については、残念ながら今のところ有効な治療法がありません。
しかし病気の進行は遅いため、基本的には定期的な通院による経過観察を行います¹⁾。

これといった治療をしないのにわざわざ通院するのは面倒に感じるかもしれませんが、萎縮型だったのに滲出型になってしまうというケースもありますので、放置はしないようにしましょう²⁾。

加齢黄斑変性には継続した治療が必要

治療によって新生血管の成長を抑えることができても、完全に消えてなくなるケースは多くありません。

また、病状が落ち着いた後、数年後に再発したり、治療前の症状に戻ってしまったりすることもあります。自己判断で受診を中断するのは避けましょう。

日常生活での予防策は継続を

滲出型でも萎縮型でも、加齢黄斑変性から目を守る日常生活での予防策はずっと続けていく必要があります。
具体的には、禁煙、日光から目を守る、肥満の解消に加え、加齢黄斑変性の予防に役立つとされる栄養素（亜鉛、ビタミンA・C・E、ルテイン、オメガ3脂肪酸など）を積極的に摂るようにしましょう。サプリメントを購入する前には医師に相談して、適切なものを選ぶようにしてください⁹⁾。