加齢黄斑変性では、抗VEGF薬という注射薬を目に打つ治療(抗VEGF療法)がよく行われます。
「目に注射する」と聞くと、痛そう、こわい、と感じる方も多いのではないでしょうか。 実際に、抗VEGF療法を受けたことがある方を対象に行ったアンケート*では、
「最初は注射が怖かった」
「目の注射なので不安はあった」
「注射の痛みについて聞きたかったが、周りに経験者がいなかった」
という声が寄せられています。
ここでは、抗VEGF療法の具体的な治療手順と、治療の前後に注意したいことなどについてご説明します。
抗VEGF療法はこわくない
目は、小さなゴミが入っただけでもかなり痛みを感じる部分です。そこに注射をするとなると、不安と恐怖を感じてしまうかもしれません。
しかし、抗VEGF阻害剤を目に注射するときは、事前に麻酔薬を点眼しますし、注射針も極めて細いものを使いますので痛みはほとんど感じません。痛みに敏感な人でもチクッと感じる程度です1)。
注射するときはベッドにあおむけに寝て、まぶたを開瞼器(かいけんき)で固定します。注射針は白目の部分に刺すので、針先は見えません。注射は1分間ほどで終わります2,3)。

治療の負担は軽いため、日帰りで行えます。治療の当日だけは、洗顔や洗髪の制限があることもありますので、主治医に確認してください。
なお、抗VGEF療法では、継続して注射を打つ必要があります。
抗VEGF療法を受けるときのアドバイス
治療の流れが事前にわかっていると、恐怖感や不安が和らぐものです。
実際に、一度治療を受けると「意外に平気だった」という方が多く、ほとんどの方が注射への恐怖感よりも治療を受けることのメリットをより強く感じるようです3)。
初めての注射のときは緊張するものですが、なるべく身体の力を抜いて、リラックスして治療を受けるようにしましょう。
治療に使う薬剤によっては、治療の前後に眼内炎を防ぐ抗菌薬の点眼を指示されることもあります。治療の効果を上げるために、医師から指示されたことは必ず守るようにしましょう。
また、冒頭で紹介したアンケートでは、「医師を信頼する以外のことは考えなかった」という回答もありました。医師との信頼関係も大きな心の支えになるようです。 ご自身に合った医師を探すためのポイントについては、こちらの記事をご参照ください。
加齢黄斑変性は、適切な治療を行わずにいると症状が進行してしまい、だんだん日常生活にも影響が出てきてしまいます。進行をできるだけ食い止めるために、抗VGEF療法をはじめとする治療や生活習慣の改善に、前向きに取り組んでいきましょう。
監修:福岡歯科大学 准教授 大島裕司先生
*アンケート調査概要
- 実施責任者:株式会社QLife
- 調査目的:加齢黄斑変性症に関する患者の理解、情報提供体制や日常生活についての実態を探る
- 調査手法:Webアンケート調査
- 調査期間:2020年11月2~6日
- 調査対象者:QLife会員かつ加齢黄斑変性症の診断・検査を受けた患者
- 有効回答数:109
- 小沢忠彦監修:図解やさしくわかる目の病気, ナツメ社, 東京, pp.104, 2017
- 髙橋寛二監修:加齢黄斑変性になったとき, 実例でよくわかる!目の病気. 主婦と生活社, 東京, pp.70, 2016
- 大鹿哲郎ほか監修:シニアの白内障 緑内障 加齢黄斑変性―「目の老化」はこうして食い止める! (別冊NHKきょうの健康), NHK出版, 東京, pp.82, 2018
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