サポートギアが形になるまで~世の中の人の健康的な暮らしをサポートできる製品を作りたい〜

加齢黄斑変性では、時計を見るなどの視覚を必要とする日常動作が難しくなることがあります。そのようなときに頼りになるのが、「見える」を助けてくれるサポートギアです。今回は、多くの人の健康を支えるサポートギアの開発・販売に取り組まれている、株式会社インテック 河田哲哉さんに製品に込めた思いを伺いました。

河田哲哉(かわだ てつや)さん
株式会社インテック代表取締役社長
2014年にサポートギアのオリジナルブランドGRUS(グルス)を立ち上げる。以降、ボイス電波腕時計、ボイスクッキングスケールなどの視覚障がい者向けの製品のほか、ヒートショックセンサーや熱中症計といった「より多くの人々が健康で健やかな生活を送れるように」をコンセプトにした製品を開発・発売している。

――まず、サポートギアの開発を手掛けられた経緯についてお聞かせください。

弊社はもともとファッションウォッチの輸入販売を手掛けていたのですが、スマートウォッチの人気を見てもわかるとおり、腕時計に求められる役割は時代とともに変わっていきます。これからは私どもも、ファッションだけでなく健康の面でも人々の生活のお手伝いができるような製品を提供していきたい、せっかくならば、ユーザーさんの目線に沿った製品を自分たちで作ってみよう、と思ったのがGRUSブランドを立ち上げたきっかけです。
当初は健康長寿をテーマにした製品を作ろうと考え、高齢者の方の体力向上に役立つような腕時計を検討していたところ、全日本ノルディック・ウォーク連盟の方とご縁ができ、一緒に「歩幅の計れるウォーキングウォッチ」を開発することになりました。当時、東京都健康長寿医療センター研究所の谷口優医学博士が発表されていた「歩幅が狭いと認知症リスクが高まる」という研究結果をふまえて、歩く際に歩幅を意識できるように工夫したものです。

――その後、視覚障がい者向けグッズに注目されたのには、どのようなきっかけがあったのでしょうか。

ウォーキングウォッチの開発をきっかけに健康関連の展示会に参加するようになったところ、日本ライトハウスさん(視覚障がい者支援活動を行う社会福祉法人)のブースで視覚障がい者向けの音声ウォッチを見て、時刻を自動的に合わせてくれるスタイリッシュな電波腕時計のアイデアが浮かびました。
デザインを決める際には、日本ライトハウスさんのご協力で見えない方や見えにくい方にモニターになっていただき、型を触ってもらってデザインについて色々とご意見をいただきました。皆さん時計を「見る」ことはできなくとも、ファッションのことを気にかけて楽しんでいらっしゃる。時代のニーズに合った、ファッション性と実用性を兼ね備えた製品開発の手応えを感じました。

――2019年には、ボイスクッキングスケールを発売されました。

ボイス電波腕時計の発売を機に視覚障がい者の展示会にも参加するようになり、来場者にアンケートをとったところ、一番リクエストが多かったのが音声で重さを読み上げるクッキングスケールでした。一般的なクッキングスケールでは、液晶が小さくて数字を読み取るのが大変です。市場に出ている音声式のクッキングスケールは高価でしたので、誰にでも手が届く価格帯の製品を作ろうと決めました。

――ボディが黒、上皿が白と、はっきりした配色ですね。

実は最初は、フルフラットデザインで真っ白のスタイリッシュなスケールにしようと考えていたのですが、「フルフラットではどこに載せたらいいかわかりにくいので、昔ながらの上皿はかりタイプの方がいい」というご意見が多かったのです。そこで、ボディと皿の境がわかるよう、コントラストを付けた配色にしました。皿の中心がわかるように、センターマークとなるシールを貼り、ボタンも、触感でわかるように立体にしています。

風袋(0リセット)の機能、電源の自動オフ機能を搭載。側面の3つのボタンは、①音量のオン・オフの切替、②使い方の音声説明、③困ったときの連絡先(フリーダイヤル)の音声案内。

――反響はいかがでしたか。

おかげさまで、ご家庭や職場で活用しているという声をいただいています。盲学校の先生には、「このスケールがあれば、視覚障がいがあっても製菓などの計量作業を伴う職場で働くことができる。生徒の活躍できる場所が広がりそうだ」という感想をいただきました。ファッションウォッチを扱っていたときは「ありがとう」と言ってもらえる機会がほとんどなかったので、大変うれしい経験でした。「求められているものを作る」ことのやりがいをあらためて感じます。
GRUSブランドのそもそものコンセプトですが、計ること・量ることを通じ、生活を楽しんでいただくことを目指しており、生活に絶対に必要なもの、というよりは少し趣味を楽しめる方向で製品開発をしているのも特色です。特にそれらの障がい者向け製品はニーズに比べて供給が少ないように思うので、弊社が開発を続ける意義があるのではないかと思っています。これからも、当事者の方々の声を伺いながら、喜んでいただけるような製品開発に尽力していきます。

★インテック社へのリクエストやご相談がありましたら、下記までご連絡ください。

TEL:0120-505-857(平日10:00~17:00)
メールアドレス:support@grus.tokyo
GRUS公式webサイト:http://grus.tokyo
商品は公式オンラインショップhttps://shop.grus.tokyo ほかAmazon、楽天などで取り扱いがあります。

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