加齢黄斑変性の診断で行う「問診」と「見え方を調べる検査」

提供:ノバルティス ファーマ株式会社

「見たいところが見えない」「視野の中心が暗い」「ゆがんで見える」「ぼやけて見える」といった症状がある場合は、加齢黄斑変性という目の病気かもしれません1)。 見え方がおかしいなと思ったら、なるべく早く眼科医に診てもらいましょう。

眼科を受診すると、眼科医による問診、見え方を調べる検査、網膜の状態を調べる検査などが行われます。

ここでは、加齢黄斑変性の可能性がある人に対して行われる「問診と見え方を調べる検査」について、詳しく解説します。

問診

加齢黄斑変性の可能性がある人が眼科を受診したときに、医師から診察室で尋ねられることの例をご紹介します2)。具体的に答えることで、医師も診断がしやすくなります。

医師の質問例 回答例
「どのような症状がありますか?」 「真っ直ぐの物がゆがんで見えます」
「手元が見づらく、新聞や本が読みにくいです」
「人の顔がよくわかりません」
「信号や時刻表などが見にくいです」
「いつ頃から症状が出ていますか?」
「最初に気づいたときから現在までに、症状に変化はありますか?」
「数日前に偶然、片目で物を見たら、おかしいことに気づきました」
「両目で問題なく見えていたのですが、手元が見えづらくなってきました」
「今までにかかったことのある病気はありますか?」
「治療中の病気や飲んでいる薬はありますか?」
「高血圧と糖尿病があり、この薬を飲んでいます(実物を見せる)」
「いつもコレステロールの薬をもらっています(おくすり手帳を見せる)」
「喫煙していますか?」 「若い頃からずっと吸っています」
「30代くらいのときに禁煙し、今はまったく吸っていません」
「両親や兄弟などに加齢黄斑変性になった人はいますか?」 「父にも同じような症状が出ていたそうです」
「病名はわかりませんが、目を悪くした人がいます」
問診

このように、問診ではさまざまなことが聞かれます。

見え方を言葉にして伝えるのは難しいことですが、どんな症状が出ているのかは診療において大切な情報です。しかし、気になる症状や不安なことがあっても、いざ診察、というと意外とスムーズに出てこないものです。ふだんのことを医師にできるだけ具体的に伝えられるよう、事前にまとめておくとよいでしょう3)。限られた診察時間を有効に使えますし、聞き忘れ防止にもなります。


見え方を調べる検査

問診の内容を踏まえ、医師が必要と判断すれば検査をすることになります。ここでは、加齢黄斑変性の可能性があるときに行う「見え方を調べる検査」である、①視力検査と②アムスラー検査について解説します。

① 視力検査4)

視力検査

視力検査は、視力がどれくらい保たれているかを確認する検査です。
遠くがどのくらい見えるかを調べる検査(遠見視力検査)と、近くの見え方を調べる検査(近見視力検査)があります。
遠見視力検査は、視力検査表から5m離れ、そこに書いてある記号(Cの形の記号)や文字(ひらがな)などを判読する検査です。多くの人にとってなじみのある検査ではないでしょうか。

遠見視力検査

また、近見視力検査は、視力検査表から顔を30cm離して見えかたをチェックします。老眼を調べたことがある方はご経験があるかもしれません。

学校の健診などで行う視力検査は、メガネやコンタクトレンズを外して裸眼で検査しますが、眼科に受診したときはメガネやコンタクトレンズを外さずに検査します。これらで視力を矯正しても見えないなら、加齢黄斑変性などの目の病気を疑うことになります。

② アムスラー検査5)

アムスラー検査

アムスラー検査は、加齢黄斑変性を発見するのに役立つ検査です。この検査をきっかけに眼科を受診する人もいます。ぜひ一度、セルフチェックしてみましょう。やり方は簡単です。碁盤のように格子状に線が引かれている「アムスラーチャート」から顔を約30cm離して、片目ずつ中央の黒い点を見つめます。メガネやコンタクトレンズを外す必要はありません。

このとき、チャートの線がゆがんで見えたり、見たい部分が黒かったり、不鮮明になったりしていたら、加齢黄斑変性の可能性があります。
ポイントは「片目ずつチェックする」ことです。多くの場合、加齢黄斑変性は片方の目から起こるのですが、片方に症状が出ていても、もう片方の眼で見え方をサポートしてしまうので、両目で見ているときは症状に気づきにくいのです6)
最初は片目にしか症状がなくても、加齢黄斑変性患者さんの3~4割は、いずれ両目とも発症してしまうといわれています7)
なお、今回アムスラー検査を試してみて問題なかったとしても、定期的にチェックするようにしてください。

加齢黄斑変性が始まっていたとしても、初期の段階では明らかな異常が出ない場合もあります。加齢黄斑変性の中には進行の早いタイプもあります6)。一度チェックしたからといって安心せず、定期的に行うことが早期発見・治療につながります。

更新情報
2024年02月27日 出典のリンクの修正を行いました

  • ノバルティスファーマ株式会社:ノバルティス ヘルスケア 加齢黄斑変性の症状
    https://www.healthcare.novartis.co.jp/moumaku/kareiouhan/about/condition [2024年1月26日アクセス]
  • ノバルティスファーマ株式会社:ノバルティス ヘルスケア 問診
    https://www.healthcare.novartis.co.jp/moumaku/kareiouhan/inspect/inspect-1 [2024年1月26日アクセス]
  • 小沢忠彦監:図解やさしくわかる目の病気 初版, ナツメ社, 東京, pp. 29, 2017
  • 小沢忠彦監:図解やさしくわかる目の病気 初版, ナツメ社, 東京, pp. 31, 2017
  • ノバルティスファーマ株式会社:ノバルティス ヘルスケア アムスラーチャートで 自己チェック
    https://www.healthcare.novartis.co.jp/moumaku/selfcheck [2024年1月26日アクセス]
  • 小沢忠彦監:図解やさしくわかる目の病気 初版, ナツメ社, 東京, pp. 85, 2017
  • 安川力 : 加齢黄斑変性と白内障手術. Nagoya Med. J., 2010, 51, 165-169

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