【第1回ミルエル会員アンケート】Vol.1仕事と病気について

先日は、会員アンケートにご協力いただき、ありがとうございました。アンケート調査の概要はすでに『【第1回ミルエル会員アンケート】概要「ほかの方にもミルエルを勧めたい」93%が評価5以上と回答』でご紹介しましたが、引き続き特定のテーマに絞って、アンケートの回答と個別インタビューに同意くださった方のコメントをご紹介したいと思います。Vol.1は「仕事と病気について」です。

加齢黄斑変性でも仕事は続けられる?

2021年11月、質問箱に「仕事は辞めた方がいいのか?パソコンの画面を見ることが必要で、辞めたほうがいいのかとも思っているが、治療費も高額なので家族の負担を考えると、もう少し頑張ってみようかと思っている」というお悩みの声をお寄せいただきました。

目の負担への懸念

仕事を続けることをためらってしまう背景のひとつには、パソコンやスマートフォンなどのデジタルデバイスを使用することで目に負担がかかるのではという心配があるのかもしれません。

冒頭のご質問に対して、武蔵野眼科の山本亜希子先生が次のような回答をされています。
「パソコン作業や目を使うこと自体がこの病気を悪化させることはありませんので、無理のない範囲で続けていただければと思います。治療後のご自身の見え方の変化を感じていただくためにもやりたいこと、やるべきことを続けることは必要な場合があります」

また、ブルーライトの影響については、同じく質問箱にてひきち眼科院長の引地泰一先生より「ブルーライトの影響を過剰に心配することはありません。黄斑部網膜に存在する黄色色素がブルーライトを吸収し、ブルーライトの有害性を取り除いてくれています」というご回答をいただいています。

適宜休憩を挟みながら使用すれば、デジタルデバイスそのものが加齢黄斑変性を抱える目に与える影響は大きなものではないようです。

仕事への影響の心配

仕事を続けることをためらってしまうほかの背景として、病気の影響で仕事に支障が出ることへの心配もあるようです。今回のアンケートでも、「入力ミスが増えた」、「仕事中に見間違いが起きる」、「仕事をこなすスピードが劇的に落ちた」、「症状が安定していないため、仕事など応募していいか迷う」という声が寄せられました。加齢黄斑変性では視力が落ちることもあるため、仕事の内容によっては、影響が出ることは避けられないかもしれません。特に、車の運転を伴う仕事の場合は躊躇されることでしょう。

仕事が治療のモチベーション維持になることも

一方で、「仕事、趣味を続けられるように」「仕事を続けたいから」「仕事を続けるにあたり、目は大切なので定期的に医師に診てもらおうと思っている」と、仕事が治療のモチベーション維持につながっているとのご回答もありました。
個別インタビューに応じてくださったAさんもそのおひとりです。

50年間ピアノ講師をしています。5年ほど前に鍵盤が歪んで見えるようになって、この病気に気づきました。私にとっては「ピアノ講師の仕事を続けるうえで困らないようにしたい」ということが第一の希望でしたので、診察ではその気持ちを先生にお伝えし、治療をスタートしました。その後、10回の注射治療とサプリメントの摂取で、波もありましたが現在は発症前とほぼ同等の、日常生活に支障のない状態にまで回復しています。仕事が治療を続けるうえでのモチベーションになっています。

(60代 治療歴5年)

職場の理解について

病気を抱えながら仕事を続けていけるかどうかには、職場の理解が大きく関わってきます。
アンケートでは、「仕事に支障が出てしまい、病気のことを伝えても理解してもらえず悲しかった」という声がある一方、「治療前後は、仕事を遅くまで依頼されなくなった。 無理を言われなくなった」、「細かい字が苦手だが、仕事の振り分けで対応してくれた」など、周囲の理解が得られて仕事が継続できている様子が伺える回答もありました。
また、個別インタビューに答えて下さったBさんは、上司の一言が社会復帰のきっかけになったとのことです。

介護職に就いています。発症前は訪問介護と施設での勤務を掛け持ちしていましたが、視力が落ちたことで利用者の方に何かあってはいけないので、辞めるしかないだろうと思っていました。かといって他に今すぐできる仕事というのもなく、これから先どうやって生活していこうかと絶望的な気持ちになっていたところ、上司が「家の仕事ができるのだったら、(訪問介護は難しくとも)施設に来て仕事をしたらいいじゃないか」と声をかけてくれ、それが職場復帰のきっかけになりました。上司のこの一言がなかったら、今の自分はなかったです。
同僚には、病気のことや、自分ができることとできないことを、最初に具体的に伝えました。入浴介助などの業務は外してもらい、洗濯や掃除など、できる仕事を担当させていただいています。施設の利用者の方にも、「目が悪いので、お顔がよく見えなかったり、近づきすぎてしまうことがあったりするかもしれません。ごめんなさい」とお伝えしています。そうすると、利用者の方からこちらに寄ってきてくださったりして、かえって皆さんのほうが気を遣ってくださっている感じです。ありがたいことです。本当に感謝しています。

(50代 治療歴5年)

自分から病気のことを公開したことが周囲の理解につながったというケースです。もし理解が得られそうな職場で働いていらっしゃるのなら、勇気を出して病気のことを話して相談してみるのもよいかもしれません。今後、このようなケースが増えていくことを期待しています。

ただ、周囲の環境については、自分だけでは何ともしがたい部分があるでしょう。今回のアンケート結果では、仕事や日常生活でなるべく支障が出ないように、拡大鏡や携帯ルーペなどを活用したり、まぶしいところは見ないようにしたりなどで工夫しているという回答がありました。

人それぞれに、症状や治療の効果の出方も、仕事内容や職場の理解も異なり、「仕事を続けるか」の答えはご自身で出すしかありませんが、「病気だから辞めるしかない」と決めてしまう前に、何かしらできることがありそうです。

今回のアンケートとインタビューから見えてきたヒント

  • ・今の仕事が続けられるかどうかを冷静に判断する(続けられることは意外と多い)
  • ・仕事を続けられるように治療に取り組む
  • ・職場に相談してみる
  • ・見えにくさを改善するグッズを使う

やめた方がいい、あきらめる方がいいと我慢しなくても、工夫次第でできることがあるかもしれません。アンケートやインタビューにお答えくださった皆さまの声が、生活や治療の選択で迷われたり、悩まれたりしている方のご参考となりますと幸いです。

あなたの体験談も、ほかの会員の方の参考になるかもしれません。「体験談を投稿」フォームより投稿いただくか、お問い合わせフォームより「インタビュー協力可能」とご連絡いただけますと幸いです。ご投稿お待ちしております!

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