提供:ノバルティス ファーマ株式会社
本を読むことで得られる楽しさや感動、また知識や情報は、目の見えにくい方々にとっても大切なものです。
視覚障害を持つ人たちが自由に読書を楽しめることを目指して設立されたのが、社会福祉法人日本点字図書館。どのような設備があるのか、またどのようなサービスが提供されているのかを知るために、点字図書館総務部総務課の石出恵さんのご案内のもと、見学させていただきました。

社会とつながる第一歩にしてほしい
点字図書館には、本を点字表記にした「点字図書」と、本を読み上げた音声を収録した「録音図書」があります。「指で触って読む本」と「耳で聴く本」です。
「最近では、点字が読める人が減ってきたこともあり、録音図書のニーズが高くなっています。録音と点字の割合としては9:1くらいです」(石出さん)
病気や事故などで、もともと見えていたのが見えなくなった、もしくは見えにくくなったという方も多く、長い時間をかけてマスターする点字よりも、聴いてわかる録音図書が求められているのだそうです。ちなみに、点字も録音もボランティアの方々を中心に製作されています。


点字図書館では、点字・録音図書の貸し出しのほか、視覚障害者のためのパソコン教室や中途視覚障害者のための点字教室、見えにくさの相談会、専門対面リーディングサービス、また調理器具や拡大読書器などの用具も販売しています。
石出さんは、「今まで見えていた方が見えなくなると、気持ちを前向きに復活させるのが難しい。当館に電話一本かけてくだされば、それをとっかかりにしてさまざまなサポートをご紹介できますし、社会とつながる一歩が踏み出せると思うので、ぜひ利用していただきたい」と話します。


視力と視野の違いを把握する
「目が見えにくい」といっても、一人一人症状は異なります。「見えにくい」というひと言の中には、視界が揺れる、ぼやける、部分的にしか見えない、中心が見えないなど、その方にとっての「見えにくさ」があるのです。
「部分的にしか見えない方に拡大鏡をお渡ししても、解決しません。『どう見えない(見える)のですか?』とお聞きして、見えない状況をいかに理解するかが大事なのです」(石出さん)
石出さんによると、「視力」と「視野」の違いを把握することが必要だそう。一般的に「見えない(見えにくい)」というと、視力の低下をイメージするかもしれませんが、それだけではありません。視力はそのままで、視野が狭くなることもあります。自身で見えにくさを把握し、それを伝えることが、適切なサポートを受ける上で必要になります。
「どう見えないのか、何が見えにくいのかによって、案内するサービスやサポートが異なります。私たちもお一人お一人の状況を知りたいので、具体的にお話しいただけると助かります」
全国から検索できる「サピエ図書館」
読書は、きわめて個人的な行為です。どんな本を読んでいるかを知られたくない人も少なくありません。目の見えにくい方たちが、人の手を借りずに、自分ひとりで読みたい(聴きたい)本を選び、借り、返却するためのシステムが「サピエ図書館」です。
「パソコンで検索して本を選び、貸し出し手続きをすれば、録音図書が家に届きます。それを専用の機械で聴き、返却はそのままポストに入れるだけ。自分ひとりでできる、ということが理想なのです」(石出さん)


2015年11月現在、サピエ図書館の利用者は13,000人以上、保有データは16万タイトルに及びます。パソコンでアクセスするので、全国どこでも利用可能です。
“見えないから読めない”ではなく“見えなくても読める”、読む楽しみはすべての人たちに開かれています。
当記事は、取材時(2016年1月)の情報をもとに作成・公開されたものです。
再掲にあたり一部株式会社QLifeにて再編集しております。
取材協力
社会福祉法人 日本点字図書館
1940年11月、「日本盲人図書館」として設立。1952年5月、社会福祉法人としての認可がおり「社会福祉法人日本点字図書館」となる。図書館サービスのみならず、図書の製作や海外支援なども行っている。国内の点字図書館の中では最大規模で、レファレンスサービスや販売用具も充実。
〒169-8586
東京都新宿区高田馬場1-23-4
電話 03-3209-0241(代表)
FAX 03-3204-5641
開館日:火曜日~土曜日 午前9時~午後5時
休館日:日曜日・月曜日・祝日・夏期休業期間・年末年始休業期間
URL:https://www.nittento.or.jp/
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