たくさんの人とつながりながら、前向きに生きる ~患者さんストーリー 伊敷亜依子さん~

提供:ノバルティス ファーマ株式会社

白杖のキャラクター「はくたん」の生みの親でもある伊敷亜依子さん。大阪在住の30歳の女性です。伊敷さんは、網膜色素変性症と診断された後も自分らしく人生を歩み、幸せな家庭を築いています。伊敷さんにこれまでのお話をうかがいました。

「こんなものかな」と思っていた子ども時代

物心ついたころから、暗いところでは物が見えないことを感じていた伊敷さん。特に夜はまったく見えませんでした。「でも、そんなものかなと思っていたので、特に気にしてはいませんでした」。ただ、バドミントンをするときにシャトルが見えない、眼鏡を掛けても視力が上がらないということは自覚していました。

小・中・高と進み、高校2年生のときに祖母が白内障の手術をすることになりました。いい機会なので一緒に検査してもらおうと病院に行ったら、ここでは検査できないから大学病院に行くようにと勧められました。「行った先の大学病院で、進行性の網膜色素変性症と診断されました」

視力や視野について、日々の変化はあまりわからないけれど、1年前のことを思い出してみると、見えにくくなっているなと感じるものの、慣れた場所に関しては不自由がなく生活できています。

やっぱり白杖を持ってよかった

大学・大学院と進み、システムエンジニアとして就職しました。働くことは楽しかったけれど、仕事柄目の負担が大きいことは感じていました。就職して1年半くらい経ったころ、結婚が決まったこともあって退職しました。

主婦として生活していたとき、ツイッターで知り合った、同じ病気を持つ京都の人から「京都ライトハウスに行ってみませんか?」と誘われました。「ライトハウスのことは知っていたけれど、なかなか機会がなかったので、せっかくだから行ってみようと。見学してスタッフの人と話をしてみたら、『白杖を持った方がいい』とアドバイスをもらい、持ってみようと決めました」

暗い道でも何となくは歩けていて、白杖がなくても生活に支障がなかったため、どの段階で白杖を持てばいいのかがわからなかった伊敷さん。お守り代わりとして持つのもいいかなという気持ちで、京都ライトハウスの鳥居寮に通所する形で白杖歩行の訓練を受けることにしました。

「最初は、周囲の目を気にして、白杖を持つのに抵抗がありました。でも段差に気づかないこともあったので、やっぱり持ってよかったなと思います。ただ、両親の前では持つのをためらってしまいます。『そんなに目が悪くなっているのか』と心配掛けたくなくて。でも、必要なときにさっと使えるという意味では“お守り”ですね」

つながりを大切に

最近では、積極的にツイッターを活用し、多くの人たちと交流をしています。同じ病気を持つ人たちともつながるようになり、悩みを打ち明け合ったりしているそうです。
「“視覚障害あるある”みたいなのがあって(笑)。目の前にあるものにぶつかるとか、誤字脱字を注意されても大して気にしないとか。見える友だちには分かってもらえないことを共有できることがいいんです」

この取材が行われたのは7月。9月に出産を控えた伊敷さんは、オンライン上だけでなく、オフラインでも、同じ見えにくい悩みを抱えた方たちが集う場所にも参加しています。
「関西に『きららの会』というのがあって、その中のママさんたちの集まりに行くと、ママ友との付き合い方や、幼稚園や学校の先生との関わり方のアドバイスがもらえます。先輩たちの話を聞くと、勇気づけられます」

オンライン・オフラインは関係なく、それが同じ立場のママであっても、見える友達であっても、人とのつながりを大切にしている伊敷さん。ツイッターでやりとりするようになって、見えにくい人たちだけでなく、見える人たちにも自分のことを理解してもらえるようになったと言います。
「見える友だちが、私たちのやりとりを見て『そういう悩みがあるんだ』と分かってくれるようになったのがうれしいですし、これからもそういうつながりは大切にしていきたいですね」

当記事は、取材時(2016年11月)の情報をもとに作成・公開されたものです。
再掲にあたり一部株式会社QLifeにて再編集しております。

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