提供:ノバルティス ファーマ株式会社
街で見掛けることが多くなった見えにくい人をサポートしたいと思っても、どうすればいいのか分からない、あるいは勇気が出ない、という方もいることでしょう。誘導する際の具体的な方法について、学校法人杏林学園杏林大学医学部付属病院アイセンター 視覚リハビリテーションワーカーの尾形真樹先生に伺いました。
誘導する場合は、肘のあたりを軽く握ってもらう
左右のどちら側に立つといいか、体のどこを握ると歩きやすいかなど、基本的にはご本人に聞きましょう。「声も掛けずに突然、腕を引っ張ったり、後ろから身体を押したり、白杖をつかんだりするのは厳禁です」
一般的には、誘導される人に、自分の肘のあたりを軽く握ってもらうのがいいそうです。自分の手の甲で誘導を依頼した方の手の甲に軽く触れると、見えにくい人はそれを手がかりに肘の位置を探します。
肘のあたりを軽く握ってもらうには、理由があります。
「誘導される人の肘が90度くらいに曲がる程度で、その方の斜め前方に立ちます。これが基本姿勢です。もし誘導する人が方向を変えると、肘からその情報が伝わりやすくなります。歩行中、誘導される人の肘が伸びきっているようなら、歩くのが速すぎるのかな、誘導を怖がっているのかも、と考えることができます。その時は歩く速度を緩めてください」

言葉掛けを工夫する
言葉で方向を案内するとき、「そっち」や「あっち」といった指示語は避けましょう。「『あそこに段差があります』ではなく、『前方(白杖を伸ばした先)に段差があります』と伝えてほしいですね。指示語の理解には視覚情報が必要ですから」
また、具体的な数字も控えた方がよさそうです。「階段で『あと3段です』と言うとします。一歩前を歩く誘導者にとって3段であっても、誘導される側にとっては何段になるのかわかりません。また、『あと2メートルで』と言っても、距離の感覚は人によって違います」
対処方法がわからなければ立ち止まる
段差、階段、エスカレーターなど、対処方法に悩む場所が目の前にあったら、立ち止まることが大事です。誘導されている目の見えにくい人に、状況を確認してもらい、どうすべきか尋ねるようにします。
駅などではエスカレーターを使わず、遠回りをしてもエレベーターに案内した方がよい場合もあるようです。「エスカレーターは、乗るタイミングが難しいので、ご高齢の方だと怖がって敬遠することもあります。それに、誘導に慣れていないと、2人一緒にエスカレーターに乗るのも難しいです。
エスカレーターに乗る必要があるときは、目の見えにくい人に単独で利用していただいて、上りでも下りでもその人の下に位置して乗ります」。これで転落を防止できます。誘導して階段を降りる場合も同じです。「目の見えにくい人には手すりを握ってひとりで降りてもらいます。目の見えにくい人の前方、つまり下を進むようにします」
安全で、楽しく自然に歩くサポート
尾形先生は、見えにくい人を誘導するときは、安全でかつ楽しく歩くことが一番大切だとおっしゃいます。「道案内をするだけでなく、『おいしそうなにおいがしますね』とか、『花がきれいですよ』とか、見えなくても街を歩くことが楽しくなるような会話ができるといいと思います。楽しく自然にサポートできると、お互いにとっていい時間になりますよね」
目の見えにくい人、見えない人を見掛けたら、物おじせずに「お手伝いしましょうか」と声を掛けてみましょう。共に支え合う社会は、ここからです。
当記事は、取材時(2018年4月)の情報をもとに作成・公開されたものです。
再掲にあたり一部株式会社QLifeにて再編集しております。
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