加齢黄斑変性の治療や経過観察は長期にわたります。定期的な診察が必要になりますので、信頼できる、自分にとって通いやすい医療機関を選びたいものです。
ここでは、初めて眼科を受診するときに考えておきたいポイントをご紹介します。
信頼できる医師とは
「信頼できる医師」とは、どのような人でしょうか。
人それぞれ「信頼」の基準は異なりますが、多くの人は「わからないこと、不安なことがあっても、それを受け止めて解決策を一緒に考えてくれる医師」に信頼を寄せるのではないでしょうか。
話をじっくり聞いてくれて、何でも相談できる「話しやすさ」があるか、難しい病気のことも平易な言葉で「わかりやすく説明してもらえる」かは、自分が長く通院できるかどうかの判断のポイントになるといえそうです1)。
また、スタッフがいきいきと仕事をしているかどうか、院内の雰囲気が明るいかなど、全体から受ける印象も意外に無視できません1)。
大きな病院や他の診療科との連携も大事
医師の「話しやすさ」や「説明のわかりやすさ」に加えて、考えたいポイントをご紹介します。
加齢黄斑変性の治療をしたことがある方を対象に行ったアンケート*では、「現在の医療機関を決めた理由」は下記のようになりました。
医療機関を決めた理由 | 回答割合 |
医療機関の紹介 | 49% |
交通の便がよい | 41% |
医師との相性 | 22% |
施設の知名度 | 22% |
知人の紹介 | 17% |
インターネットで調べた | 15% |
口コミ | 7% |
雑誌やTVなどで知った | 5% |
その他 | 7% |
多くの人が交通の便をあげています。また、「医師との相性」や「施設の知名度」も重視されているようです。
最も多かった「医療機関の紹介」という回答は、最初にかかった医療機関から、より高度な検査や治療ができる大学病院といった規模の大きい病院(大病院)を紹介されたということだといえそうです。
最初にかかる眼科クリニックを選ぶ際は、必要に応じて専門性の高い医療機関に適切に紹介してくれるかどうか1)、糖尿病など、併存症(ほかの身体の病気)がある場合は、眼科以外にかかっている診療科との連携体制も合わせて考えたいポイントです。
眼科医や医療機関の探し方
お住まいの地域によっては眼科医が少なく、選択肢がない場合もあると思いますが、ここでは近隣にいくつか候補がある場合を想定して実際に受診する眼科の探し方をご紹介します。
① 眼科クリニックから探す
かかりつけ医がいない場合、最初から大病院に行ったほうがよいのでは、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、最初はお近くの眼科クリニックを受診することをおすすめします。
紹介状を持たずに大病院にかかると追加費用を請求されることがありますし、予約していても長時間待つこともあります1)。
眼科に限らず、クリニックと大病院にはそれぞれ役割があります。クリニックでは難しい治療を行うのが大病院ですので、その必要がない患者さんまでもが大勢押しかけてしまうと、本当に高度な治療が必要な患者さんが受診できなくなってしまいます。
ですので、基本的にはまずクリニックを受診するのがよいでしょう。眼科専門の施設であれば、必要な検査や治療はそこで完結することもあります。大病院へ紹介ということになった場合でも、問診や検査の重複を避けることができ、紹介先での診察もスムーズです。時間と治療費の節約にもなります。
もちろん、突然の重病や重症などの場合や、高度な治療が必要と思われる場合は、その限りではありません。加齢黄斑変性の場合、紹介された先の大病院の担当医師が主治医として治療を続けることもあれば、治療がひと段落した後の経過観察を地元のクリニックで行う形で役割分担をすることもあります(図)。

② 眼科専門医を探す
お近くにいくつか候補になるクリニックがあり迷う場合は、眼科専門医であるかどうかで決めるのも一つの方法です1)。
眼科専門医については、こちらの記事をご覧ください。
③ 視能訓練士がいるか確認する
「視能訓練士」という国家資格を持つスタッフが在籍しているか、また、常駐しているかを確認するのもよいでしょう1)。日本視能訓練士協会のwebサイト2)では、会員の勤務する施設を地域別に掲載しています。
視能訓練士は見えにくさを補うための工夫をアドバイスできる専門職です。生活上の困りごとを何かと相談しやすいでしょう。
視能訓練士については、こちらの記事をご覧ください。
④ 連携している病院を確認する
医療機関によっては、ホームページや院内の掲示などで連携している病院名を公開しています。他の医療機関と連携が取れていることを示す一要素でもありますので、この点を確認してみるのもよいでしょう。
⑤ 信頼できる口コミを参考にする
これらを調べてみて、それでも甲乙つけがたいようなら、口コミなどを参考にしてもいいかもしれません。もし、その眼科にかかっている知人がいるなら、どんな様子か聞いてみると参考になります。ネットでも口コミを見ることができます。ただしその際は、信頼できるサイトにおける評価を参考にすることが大切です。
眼科を選ぶ際のポイントをいくつかご紹介しましたが、人間同士ですし、どんなに有名な医師でも、自分とは相性が合わない、ということはあり得ます1)。
結局のところ、「自分で受診してみてどう感じるか」がもっとも重要だといえるでしょう。
「よい医師」を探すと同時に「よい患者」になる
自分に合った「よい」治療やケアのためには、医師と患者の信頼関係の構築が必要です。ご自身も前向きに治療に取り組む姿勢(疑問があれば聞く、医師の指示を守る、自己判断しない)を持ち、コミュニケーションを取っていくように心がけましょう1)。
監修:ひきち眼科 院長 引地泰一先生
*アンケート調査概要
- 実施責任者:株式会社QLife
- 調査目的:加齢黄斑変性症に関する患者の理解、情報提供体制や日常生活についての実態を探る
- 調査手法:Webアンケート調査
- 調査期間:2020年11月2~6日
- 調査対象者:QLife会員かつ加齢黄斑変性症の診断・検査を受けた患者
- 有効回答数:109
- 小沢忠彦監:図解やさしくわかる目の病気 初版, ナツメ社, 東京, pp.26-27, 2017
- 公益社団法人日本視能訓練士協会: 公益社団法人日本視能訓練士協会webサイト
https://www.jaco.or.jp [2021年9月3日アクセス]
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