眼の手術を不安に感じる患者さんへのアドバイス ~信頼関係が不安を取り除く~

提供:ノバルティス ファーマ株式会社

「眼の手術と聞いて怖くない人はいないと思います」そう語る、年間1,000件以上の白内障手術や網膜硝子体手術を実施している吉田眼科病院の吉田紳一郎先生に、患者さんが手術のときに不安に思われることや、その対処についてお話しいただきました。

「見える不安」はそんなにありません

眼科の手術は基本的には局所麻酔で行いますが、清潔を保つために覆布を顔全体に掛けますので、患者さんは周りの様子が分からない状態になります。そのため、聴力が敏感になって手術器具の音やスタッフ同士の会話などが気になる方も多いと思います。そこで私たちは、患者さんに声掛けしながら不安を和らげるように努めています。このように手術中に患者さんとコミュニケーションを取れることは局所麻酔の大きな利点です。

手術中には、注射針や手術器具を眼の中に入れることがあります。こう聞くと怖いイメージを持たれるかもしれませんが、この時の患者さんの見え方としては、ピントがしっかり合うことはなく、何かが入ってくる、動いているという程度ですので、「見えること」による恐怖や不安はそれほど心配しなくてもよいと思います。患者さんに安心して手術を受けていただくためにも、術中の手術器具の見え方を含めて事前に十分に説明し、手術がはじまってからも適宜説明しながら行っています。

患者さんの手術への不安を和らげるポイントのひとつは、手術中のコミュニケーションです。例えば体を動かしそうだという患者さんには、スタッフが声掛けをしたり、手を握ったりすることによって、ある程度の不安を取り除けます。

私たちは手術前の説明を非常に大切に考えています。眼の手術に対する不安をゼロにすることはできませんが、当院では医師だけでなく、スタッフからもしっかりとお話をさせていただいて、場合によってはご家族にも手術室に入っていただきご理解をいただくようにしています。眼の手術では、患者さんとご家族、手術を行う我々医療チームとの信頼関係づくりが非常に重要だと考えています。

術後の経過観察が重要です

術後の生活では合併症のひとつである感染症の予防に特に注意を払っています。術後の点眼薬を欠かさずさすこと、眼をこすらないことなど、術後の日常生活に関する注意を促すということを徹底しています。また、それ以外に重要になるのが術後の通院です。患者さんによっては「手術してよく見えるようになった」と気持ちが緩んでしまい、中には通院を中断されてしまう方もいます。しかし、実はそれは非常に危険です。通院を中断することによって、術後の感染予防に必要な点眼薬がなくなり、点眼を継続できない状態が続いてしまいます。
手術後の経過観察・通院が非常に大切だという事を患者さんにご説明、ご理解いただいています。

医療全般に言えることですが、早期発見・治療が術後の経過に大きく影響してきます。医師は手術の時期を的確に判断し、そのリスクとベネフィットをしっかりご説明させていただいていますので、眼の手術を受けられるかどうか迷われている患者さんもいると思いますが、まずは眼科医にご相談いただきたいと思います。

当記事は、取材時(2022年2月)の情報をもとに作成・公開されたものです。
再掲にあたり一部株式会社QLifeにて再編集しております。

吉田紳一郎(よしだ しんいちろう)先生

医療法人社団玄心会 吉田眼科病院 理事長

略歴

  • 1985年 金沢医科大学医学部 卒業
  • 2000年 獨協医科大学眼科 助教授
  • 2011年 獨協医科大学越谷病院 臨床教授
  • 2012年 函館市医師会 理事
  • 2021年 医療法人社団玄心会 吉田眼科病院 理事長

吉田眼科病院
http://yoshidaganka.com/


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