提供:ノバルティス ファーマ株式会社
視覚障害者の外出を支援する同行援護。指定された場所から行きたい場所までガイドヘルパーがサポートするサービスです。同行援護専門の事業所「otomo」を運営する鈴木貴達さんにお話をうかがいました。
社会課題を解決すべくチャレンジ
20歳で広告関係の会社を起業した鈴木さん。あるきっかけで同行援護というサービスを知りました。これは社会課題であると気づき、同行援護の事業にチャレンジすることに。ですが、もう一つ大きな理由がありました。「私の母親が視覚障害者なんです。それなのに、教えてもらうまで同行援護を知らなくて。サービス提供者が少ないことを知って、これを仕事にしようと思いました」。
2017年4月にotomoを立ち上げ、鈴木さん自身もガイドヘルパーの資格を取り、福祉に長けた人に役員として入ってもらいました。しかし収益化するのが難しい業態で、軌道に乗るまでに1年かかりました。
「視覚障害は情報障害とも言われていて、必要な情報を必要な人に届けるのが難しい。視覚障害の当事者となかなかつながれませんでした。ウェブサイトやチラシを作っても、ご本人は見られないですから」。
イベントに出展して来場者に説明したり、利用者さんから「こういう団体があるから行ってみれば」と教えてもらったりして、少しずつ広げていきました。
「サービスを提供する利用者さんにも、ずいぶん応援してもらいました。そのおかげで今があると思っています」。
必要な人に必要なサービスを届けたい
視覚障害者が同行援護サービスを利用するには、①役所に障害者手帳の申請をする ②障害者福祉サービス受給者証の申請をする ③受給者証が交付されたら利用したい事業者を決めて契約する ④サービス利用開始、となります。
「地域によっては相談支援専門員が事業所を紹介してくれるところもありますが、ご自身でするケースもあります。②で事業所を決めるといっても、役所では紹介できないので事業所のリスト一覧を紙で渡されてそこから探すことになります。見えない人にとってはハードルが高いんですよね」。
福祉事業所の数としては、都内だけでも何千とあります。それならすぐに見つけられるのではと思いきや、現実はそうではありません。「全国の事業所の中で、同行援護サービスに特化しているのは0.6%1)です。ほかは高齢者の訪問介護がメインだったりするので、電話しても対応できないと言われることがあるんです」。
必要な人に必要なサービスを届けたい。行きたい時に行きたいところに行けるようにしたい。そんな思いが、同行援護に特化した事業所「otomo」の原動力になっています。
上限時間の最大50%を無料で延長できる
福祉サービスは、利用の規定があります。同行援護でできること、できないことについて鈴木さんに聞いてみました。「同行援護の定義としては、外出に同行して目の代わりをするということ。ですので、自宅の中に入って介助することはできません。利用できるのは、あくまで余暇活動において。通学・通勤など定期的なものや、報酬が出る経済活動やギャンブルもダメ。通院に利用できることになっていますが、自治体によっては『通院介助』という別のサービスを使うところもあります。市町村によってルールが違うので、その都度確認が必要です」。
利用者は複数の事業所と契約できるので、事業所Aがダメなら事業所B、という選択もできます。利用できる時間の上限は、都内では月50時間という自治体が多く、時間の前借や繰り越しは基本的にできません。「利用者さんによっては、時間が足りない方もいます。otomoでは独自に、月に上限時間の最大50%を無料で提供しています。以前、演歌好きな利用者さんに『コンサートの抽選にいくつも当たったから行きたい』と言われたのですが、そうすると50時間じゃ足りないということになって。そこからこのサービスを始めました。もちろん、全部のコンサートに行けましたよ(笑)」。
後編では、otomoの具体的なサービスなどについてお伝えします。
当記事は、取材時(2020年6月)の情報をもとに作成・公開されたものです。
再掲にあたり一部株式会社QLifeにて再編集しております。
- 厚生労働省 平成25年度障害者総合福祉推進事業「同行援護に関する実態把握と課題について」調査 結果報告書
取材協力
視覚障害者のための同行援護サービスotomo
http://otomo.care/
無料会員登録をすると
以下の機能をご利用いただけます

- 通院の記録と調子の記録
- 質問と回答の閲覧・投稿
- 体験談の閲覧・投稿
質問・体験談でほかの患者さんと情報交換できる!
登録はかんたん!2ステップ。1分で完了します。